【呼吸困難とは?】息苦しさの仕組みと原因をやさしく解説

こんにちは。終末期ケア専門士・訪問看護師の山口です。

これまでに50人以上の方をご自宅で看取らせていただいた経験から、私が強く感じていることがあります。

それは、「呼吸がつらい」という訴えには、目に見えない苦しさが隠れているということ。

このブログでは、呼吸困難(こきゅうこんなん)について、仕組み・原因・高齢者に多い変化をやさしく解説していきます。

呼吸困難とは?

呼吸困難とは、「息が苦しい」「空気が吸いづらい」と感じる症状のことです。

これはあくまで本人の“主観的なつらさ”であり、酸素不足だけでなく、不安や病気の影響でも生じることがあります。

高齢者や慢性疾患のある方、がん患者様などに多く見られ、日常生活の質(QOL)を大きく低下させる要因になるため、適切な理解と対応が重要です。

1. 呼吸の基本メカニズムを知ろう

私たちの呼吸は、大きく分けて2つのステップで成り立っています。

外呼吸:肺で酸素(O₂)を取り入れ、二酸化炭素(CO₂)を体の外に出す

内呼吸:血液が酸素を細胞に運び、細胞から出たCO₂を肺に戻す

この流れがうまくいっていると、息苦しさを感じることなく呼吸ができます。

しかし、どこかに障害が起こると、体が酸素不足になり、呼吸困難を感じるようになります。

2. 呼吸困難が起こる原因とその仕組み

呼吸困難は、「空気が足りない」と感じる感覚だけでなく、以下のような複数の要因が関与しています。

(1)酸素が体に届かない

• 肺炎・COPD・肺がんなどにより肺のガス交換が低下

• 換気と血流のバランスが崩れる(換気血流比の不均衡

• 肺の硬化(線維化)により、酸素を取り込みにくくなる

(2)呼吸の動きがうまくできない

加齢による呼吸筋(横隔膜・肋間筋)の低下

胸郭(胸の骨や筋肉)の動きが硬くなる → 肺が膨らみにくくなる

寝たきりや姿勢の悪化 → 換気量が低下し息苦しさにつながる

(3)神経・心理的な要因

• 呼吸をコントロールする脳の呼吸中枢の障害

ストレスや不安・パニック・うつなどにより、症状が強く感じられることも

3. 呼吸困難と呼吸不全の違い

呼吸困難:あくまで「本人の感じるつらさ」

呼吸不全:血中酸素が低下した状態(酸素飽和度SpO₂ 90%未満

数値で判断される呼吸不全と違い、呼吸困難は「数字に出ない苦しさ」もあるため、家族や医療者の気づきが重要です。

4. 高齢者に多い呼吸機能の変化とは?

高齢になると、以下のような体の変化が起こり、呼吸困難が起こりやすくなります。

呼吸筋の筋力低下 → 強く吸ったり吐いたりしにくい

胸郭の柔軟性の低下 → 肺が広がりにくい

肺の弾力性の低下 → 空気の出し入れがしづらくなる

咳反射の低下 → 痰が出にくく、誤嚥性肺炎のリスクも

5. 呼吸困難の評価

【簡易的な評価方法】

パルスオキシメーターで血中酸素濃度(SpO₂)を測定

▼次回予告

【この記事はこんな方におすすめ】

• がん患者さんや終末期を迎えるご本人

• 息苦しさや痛みのケアでお悩みのご家族

• 在宅医療・緩和ケアに関わるすべての医療者・介護職の方

【関連タグ】

#呼吸困難 #がん性疼痛 #在宅緩和ケア #訪問看護 #終末期ケア #QOL向上 #ターミナルケア

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事が少しでも参考になった方は、ぜひ「いいね」「コメント」「フォロー」でお知らせください。

皆さんの声が、次回の記事を書く大きな励みになります!