終末期ケア専門士・訪問看護師の山口です。
これまで50人以上のご自宅での看取りに関わってきました。
その経験の中で強く感じたのは――
「がんの痛みは、我慢しなくても和らげる方法がある」ということ。
今回は、世界保健機関(WHO)が提唱している、
「がん疼痛に対する3段階除痛ラダー」という考え方を、
ご本人やご家族にもわかりやすくご紹介します。
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まずはじめに、
医療用オピオイドって怖い薬?
「オピオイドってなに?」「麻薬って聞くと不安…」
そんな声をよく耳にする。
でもご安心ください。正しく使えば安全です!
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医療用オピオイドとは?
• モルヒネなどの強力な鎮痛薬
• がんの痛みに特化して作られた「医療用の薬」
• 医師の指示どおりに使えば、安全で効果的
依存や中毒の心配はほとんどありません。
むしろ、痛みで眠れない・動けないことの方が心と体に大きな負担をかけてしまう。
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WHO方式がん疼痛治療|3段階の「除痛ラダー」とは?
WHO方式では、痛みの強さに応じて薬を段階的に使い分ける方法を「3段階除痛ラダー」と呼んでいる。
【ステップ1】軽い痛みには…
非オピオイド鎮痛薬(非オピオイドなので、麻薬ではない)
薬剤名:カロナール(アセトアミノフェン)/ロキソニン、ボルタレンなど(NSAIDs)
→ 発熱・炎症を抑えるが、胃腸や腎臓に注意。
特徴: 炎症を抑えたり、発熱を下げたりする効果がある。
ただし、胃や腎臓への負担があるため、継続使用には注意が必要。
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【ステップ2】中程度の痛みには…
弱オピオイド + 【ステップ1】の薬
薬剤名:コデイン/トラマドール(神経痛にも有効)
特徴:軽度の麻薬性鎮痛薬。便秘や吐き気が出やすいため、予防策(下剤など)を一緒に使うか検討する。
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【ステップ3】強い痛みには…
強オピオイド + 必要な補助薬
薬剤名:モルヒネ/オキシコドン/フェンタニル/メサドンなど
特徴:強い痛みも効果的に抑えられる。しかし、呼吸の抑制や眠気といった副作用があるため医療スタッフの管理が欠かせない。
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ポイント!
• 痛みが強ければ、最初からステップ3でもOK!
• ステップ1から順番に使わなくて大丈夫。
• 痛みが軽くなれば薬を減らすことも可能!
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【大前提】薬の調整は必ず医療スタッフに相談を!
がんの痛み止め(オピオイドなど)は、その人の状態に合わせて細かく調整する必要がある薬です。
- 自己判断で量を増やしたり、減らしたりしないこと。
- 副作用や効き具合も、医師・看護師・薬剤師と一緒に確認しながら進めていきましょう。
「今のあなたに合った量」を、安心して使うことが大切です!
▼次回予告
→ 【在宅でもできる】WHO方式がん疼痛治療の5つの原則
【この記事はこんな方におすすめ】
・がん患者さんや終末期を迎える方
・痛みケアに悩んでいるご本人やご家族
・在宅ケア・緩和ケアに関わる方
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