こんにちは。
終末期ケア専門士・訪問看護師の山口です。
これまでに50人以上の方をご自宅で看取らせていただく中で、強く実感してきたことがあります。
それは、「がんによる痛み(がん性疼痛)をやわらげるためには、薬だけでなく、日常のケアや関わり方がとても大切」ということです。
このブログでは、がん性疼痛と向き合うご本人やご家族のために、在宅でも安心して実践できるケアや知識を、わかりやすくお届けしています。
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1.ポジショニング(体位調整)とは?
がんによる痛みがある方にとって、「動くともっと痛くなるのでは」と恐れて、同じ姿勢で過ごしがちです。
しかし、長時間同じ体勢でいることは、かえって痛みの悪化を招くこともあります。
そこで効果的なのが、「ポジショニング(体位調整)」です。
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2.ポジショニングの効果とは?
ポジショニングを正しく行うことで、次のような効果が期待できます。
• 痛みの軽減(圧の分散や筋肉の緊張をやわらげる)
• 関節や筋肉のこわばり予防(可動域を保つ)
• 血流・リンパの流れの促進(浮腫や床ずれの予防にも)
• 精神的な安心感(支えられているという感覚)
特に、がん性疼痛により体を動かすのが不安な方にとっては、「安心して体を動かせる環境づくり」が大きな支えになります。
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3.ポジショニング実践の3つのポイント
(1)レスキュードーズ(頓用鎮痛薬)の活用
体位を変える前に、レスキュー用の鎮痛薬を服用することで、動作時の痛みを抑えることができます。
「動くのが怖い」→「今なら少し楽に動けるかも」へ
痛みの不安を減らすことで、自発的な動きやケアの受け入れやすさにもつながります。
(2)ご本人の意思とペースを尊重
• 「体を動かして大丈夫?」と一言声かけを。
• 無理に動かさず、ご本人のペースに合わせてゆっくりサポートすることが大切です。
ご本人が「自分で決められる」と感じることが、精神的な安心にもつながります。
(3)優しい声かけと寄り添い
• 「少しずつ動かしてみましょう」
• 「痛くなったらすぐに教えてくださいね」
こうした寄り添いの言葉が、ご本人の不安を軽くし、「大丈夫、やってみようかな」という気持ちを引き出すことができます。
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4.安全なポジショニングのために使用するもの
• クッションや枕
• バスタオルを丸めたもの
• ポジショニング専用の介護用品(必要に応じて検討)
関節の下や痛みのある部位のサポートに活用することで、圧の分散と安定感が得られます。
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【まとめ】ポジショニングは、やさしい痛みケアの第一歩
ポジショニングは、特別な道具がなくてもできる日常ケアです。
ちょっとした工夫と声かけで、痛みを軽くし、その人らしい時間を支える力になります。
「痛いから動かない」ではなく、
「少し楽に動けるから、安心して過ごせる」──
そんな在宅ケアを、一緒に目指していきましょう。
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▼次回予告
→ 【がん性疼痛に有効な在宅ケア】気分転換法(注意転換法)で心も身体も楽に
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【この記事はこんな方におすすめ】
• がんによる痛みに悩むご本人
• 家での介護や痛みケアに迷っているご家族
• 在宅緩和ケアに携わる医療・介護職の方
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