こんにちは。
終末期ケア専門士・訪問看護師の山口です。
がんによる痛み(がん性疼痛)をやわらげるためには、薬だけでなく、おうちでできる簡単な工夫もとても効果的です。
このブログでは、すぐに取り入れやすい加温(温める)・冷却(冷やす)療法について、その効果や注意点を、わかりやすくお伝えします。
⸻
1.加温(温める)ケアの効果と使い方
加温ケアの主な効果
• 血流を促進し、発痛物質を体外に流し出す
• 身体が温まることで、リラックス効果も得られる
• 痛みだけでなく、不安や緊張をやわらげる効果
ご本人が「心地よい」と感じる程度に温めることで、心身の緊張がほぐれ、痛みがやわらぐことがあります。
自宅でできる加温(温める)ケアの例
• ホットタオル
• 温湿布
• 使い捨てカイロ(タオルで包んで使用)
• 入浴(全身ではなく部分浴でもOK)
・手浴、足浴など
【注意が必要なケース】
以下のような部位・状態には温めを避けましょう。
• 出血している場所
• 感染や炎症がある部位
• むくみ(浮腫)のある部分
• 傷口・手術跡・外傷がある場所
• 感覚が鈍くなっている部位(熱さを感じにくい
さらに、低温やけどのリスクがあるため、
• 熱源はタオルなどで包む
• 長時間同じ場所に当て続けない
• 皮膚の状態をこまめにチェック
これらを意識して、安全に取り入れましょう。
⸻
2.冷却(冷やす)ケアの効果と使い方
冷却ケアの主な効果
• 血管を収縮させて、炎症や発痛物質の産生を抑える
• かゆみや炎症の緩和に効果的
• 発熱時や放射線治療後のヒリヒリ感にも◎
自宅でできる冷却ケアの例
• 冷罨法(冷たいタオルや保冷剤をタオルに包んで使用)
• 冷湿布
【注意が必要なケース】
• 冷やすことで逆に痛みが強くなる方もいます(神経痛がある場合など)
• 凍傷のリスクがあるため、冷やしすぎには注意
• 保冷剤は直接肌に当てず、必ずタオル等で包みましょう
• 皮膚の色や温度、赤み、痛みの変化をこまめに確認しましょう
⸻
3.加温・冷却療法を行うときの大切なポイント
• 「心地よさ」が最優先です。無理に続けず、「気持ちいい」と感じる範囲で。
• ご本人の反応や表情、皮膚の状態をよく観察しながら進めましょう。
• 「やってみたいけれど不安…」という場合は、訪問看護師や主治医に相談を。
⸻
【まとめ】加温・冷却は、日常の中でできるやさしい痛みケア
がん性疼痛と向き合う日々の中で、加温・冷却療法は特別な道具がなくてもすぐにできるケアです。
やさしい温かさ、心地よい冷たさは、ご本人にとって「安心できる刺激」となり、QOL(生活の質)の向上にもつながります。
体調や痛みの種類によって合う方法は異なるので、「その人に合ったケア」を見つけていくことが大切です。
⸻
▼次回予告
→ 【がん性疼痛に有効な在宅ケア】ポジショニング(体位調整)の大切さと実践ポイント
⸻
【この記事はこんな方におすすめ】
• がんによる痛みをやわらげたい方
• おうちでできる緩和ケアを探しているご家族
• 在宅での痛みケア方法を知りたい介護者・医療者
【関連タグ】
#がん性疼痛 #痛み緩和 #加温療法 #冷却療法 #在宅緩和ケア #終末期ケア #訪問看護 #やさしいケア #QOLを守る
⸻
この度は、ブログを読んでいただきありがとうございます!
参考になった方は、ぜひ「いいね」「フォロー」「コメント」で感想をお聞かせください。
皆さんの声が、次の記事を書く大きな励みになります!