こんにちは。
終末期ケア専門士・訪問看護師の山口です。
これまでに50人以上の方をご自宅で看取らせていただく中で、「がんによる痛み(がん性疼痛)」に向き合うご本人・ご家族が、日々の生活の中でできる工夫の大切さを痛感してきました。
このブログでは、ご自宅でも実践しやすい痛み緩和ケアについて、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
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1.気分転換法(注意転換法)とは?
がんによる痛みが強くなると、どうしても「痛みばかりに意識が集中」してしまい、心も体もつらく感じてしまうものです。
そんなときに役立つのが「気分転換法(注意転換法)」です。
これは、痛みに向いている注意を、他の楽しい・心地よいことに向けることで、痛みのつらさを和らげる方法です。
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2.具体的な気分転換法のアイデア
● 音楽を聴く
好きなアーティストや懐かしい曲を聴くことで、リラックスしたり、気持ちが前向きになります。
「この曲を聴くと元気が出る」そんな1曲を見つけてみましょう。
● テレビ・映画を観る
笑えるバラエティ番組や感動的な映画など、物語の世界に没頭することで、痛みへの注意をそらすことができます。
楽しい気持ちは、自然と身体の緊張も和らげてくれます。
● 好きな人とおしゃべりする
家族・友人・訪問スタッフなど、気兼ねなく話せる人との会話は、気分の安定や安心感につながります。
痛みの話じゃなくてもいいんです。「何気ないおしゃべり」こそ、心を軽くする力があります。
● 趣味や作業に取り組む
• 手芸・ぬり絵・読書
• 写真やアルバムを見返す
• 簡単な家事をやってみる など
「手を動かす」「集中する」ことが、自然と注意の向きを変えてくれます。
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3.ご本人に合った「気分転換法」を一緒に探しましょう
注意したいのは、「何が効果的か」は人それぞれ違うということ。
無理に「やってみて」と押しつけるのではなく、ご本人が「やってみたい」と感じることを一緒に見つけることが大切です。
小さなことでかまいません。
「少し気がまぎれた」「ちょっと楽になった」そんな経験を積み重ねることが、
→ 痛みに対する耐性(間値)を高め、トータルでの痛み緩和にもつながっていきます。
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【まとめ】「自分で選ぶ」ケアが、心の支えになる
がん性疼痛のケアでいちばん大切なのは、
ご本人の「この痛みをどうにかしたい」という気持ちです。
その思いに、私たち医療者や家族がそっと寄り添い、
「何ができるか」「どれが心地よいか」を一緒に探していくことで、
痛みに対する“自己コントロール感”が生まれます。
「自分でできた」
「自分で痛みを乗り越えられた」
そんな実感は、痛みそのものを軽くする力にもなります。
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▼次回予告
呼吸困難とは?|息苦しさの仕組みと原因をやさしく解説
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【この記事はこんな方におすすめ】
• がんによる痛みと向き合っているご本人
• 自宅でケアを行っているご家族
• 在宅緩和ケアに関わる医療・介護職の方
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