倦怠感(Fatigue)とは、がんの終末期に多く見られる患者のQOL(生活の質)を大きく左右する症状の一つ。今回のブログでは、倦怠感の原因、アセスメント方法までをわかりやすく解説。緩和ケアや訪問看護に携わる方、ご家族にも役立つ情報をお届けします。
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倦怠感とは?|まず原因を見極めよう
倦怠感の2つのタイプ
がん患者の倦怠感には主に以下の2種類があります。
1. 一次性倦怠感(がんそのものが原因)
がん自体による全身倦怠感は、以下の要因が関与しています。
• 炎症性サイトカインの過剰放出
• がん悪液質(カヘキシア)によるエネルギー・筋肉量の低下
• 全身の代謝異常や体力消耗
※このタイプは根本的治療が難しく、対症療法や支持的ケアが中心となる。
2. 二次性倦怠感(可逆的な要因)
まず除外・治療すべき原因がこちら
• 薬剤性:抗がん剤・放射線治療・オピオイドによる副作用
• 身体的要因:貧血、脱水、感染症、便秘、電解質異常(Na、Kなど)
• 臓器機能障害:肝機能・腎機能の低下
• 内分泌異常:副腎不全、甲状腺機能低下、高血糖
• 精神的要因:不眠、うつ、不安、ストレス
→ まずは二次性倦怠感のアセスメント・原因除去が重要!
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倦怠感アセスメント|主観的症状を「見える化」する!
倦怠感は客観的な指標では測りにくいため、丁寧な聞き取りと評価ツールの活用がカギとなる
1. 倦怠感の程度・頻度を聞き取る
• 「何をするのも億劫ですか?」
• 「体が重く、力が入らないと感じますか?」
• NRS(Numerical Rating Scale)やフェイススケールで評価
2. 時間的なパターンを把握
• 発症時期・増悪因子(例:入浴後、排泄後など)
• 日内変動の有無(午前中は動けても午後に悪化するなど)
3. ADL(日常生活動作)への影響
• 食事、移動、排泄、清拭など、どの行為に支障があるか?
• 「何ができるか」に注目し、小さな成功体験を支援
4. 精神的・社会的な影響の評価
• 気力・意欲の低下、希望喪失
• 家族・育児・仕事への罪悪感
• 「死」への意識の変化、不安・恐怖の有無
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まとめ|
倦怠感ケアは「見えないつらさ」への寄り添いから
終末期がん患者の全身倦怠感は、多くの要因が絡み合う複雑な症状です。医療者やケアスタッフは「見えにくい苦しみ」に耳を傾け、身体的・精神的・社会的な側面を包括的にアセスメントする姿勢が求めらる。
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▼次回予告
体がだるい(倦怠感)への改善方法
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【この記事はこんな方におすすめ】
• がん患者や終末期を迎えるご本人
• 倦怠感などに悩んでいるご家族
• 在宅ケア・緩和ケアに関わるすべての方
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