【呼吸困難】終末期にできる「息苦しさを和らげる日常ケア」《前半》

こんにちは。

終末期ケア専門士・訪問看護師の山口です。

在宅療養中、「呼吸が苦しい」「うまく息ができない」といった症状は、ご本人にとっても、ご家族にとっても大きな不安につながります。

でも、日常の中でできるちょっとした工夫で、呼吸が少しラクになり、不安をやわらげることができます。

このブログでは、終末期や在宅看取りの場面で役立つ「呼吸をやさしく整えるケア方法」について、《前半》として4つの工夫をご紹介します。

1. 【日常動作】息を止めずに動くことが大切

息を止めると、呼吸がますます苦しくなります。

「動くと息が苦しい」と感じるとき、無意識に息を止めたまま動作をしてしまうことがあります。

しかしそれが逆に呼吸困難を悪化させてしまう原因になっていることも。

ポイントは「息を吐きながら動く」

• しゃがむ・洗顔・歯磨きなどは、「ふーっ」と息を吐きながら行う

• 排便時(お通じを出すとき)の“いきみ”も息苦しさを悪化させることがあるので注意

→便秘がある場合は、主治医に相談して下剤などでコントロールしましょう

「動くときほど、吐きながら」を意識することで、息苦しさの悪化を防ぐことができます。

2. 【呼吸法】息苦しさをやわらげる「口すぼめ呼吸」

口すぼめ呼吸とは、口をすぼめて、ゆっくり息を吐く呼吸法です。

「口すぼめ呼吸」は、息苦しさをやわらげる効果的な呼吸法として、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の方などにも広く用いられています。

やり方

1. 吸う: 鼻からゆっくり2秒かけて吸う

2. 吐く: 口をすぼめて「4秒かけて」ゆっくり吐く

※ポイントは、吸うよりも吐く時間を長くすること

※腹式呼吸もありますが、状態によっては苦しくなることがあるため、無理せず行いましょう。

3. 【呼吸介助】家族の手でサポートできる呼吸のケア

呼吸がつらいとき、ご家族がやさしく寄り添いながらサポートすることで、呼吸が楽になったり、安心感が得られることがあります。

やり方のポイント

息を吐くタイミングで、背中や胸をやさしく押す

息を吸うときは手を離す(圧をかけない)

• 表情や呼吸の様子をよく観察し、苦しそうなときはすぐ中止する

→ ベッドに寝た状態でも、座った状態でも行えます。無理のない範囲で行いましょう。

4. 【痰が出にくいとき】無理をせず、できる工夫を

ターミナル期(終末期)になると、咳をする力が弱くなったり、痰が粘って出にくくなることがあります。

無理に出そうとすると体力を消耗し、疲労につながることも。

痰をやわらげるための工夫

こまめな水分補給(飲み込みに問題がなければ)

うがいで喉や口の中を潤す

• 必要に応じて、吸入や去痰薬の使用も検討

→ 呼吸の状態や全身状態に応じて、医師・訪問看護師と相談しながら無理なくケアをしましょう。

次回予告

【呼吸困難】終末期にできる「息苦しさを和らげる日常ケア」《後半》

【この記事はこんな方におすすめです】

呼吸が苦しい在宅療養中の方

息苦しさにどう対応すればいいか悩んでいるご家族

• ターミナル・終末期ケア・在宅看取り・緩和ケアに関わる医療職・介護職の方

最後まで読んでくださってありがとうございます。

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