終末期の「口腔ケア」とは?誤嚥性肺炎を防ぎ、最期まで口から食べる力を支える方法〜実践編〜

終末期ケア専門士の山口です。

ここでは50人以上の在宅看取りをした経験から、学んだことやヒントなどお伝えしていきます!

今回お伝えするのは、

終末期の「口腔ケア」とは?誤嚥性肺炎を防ぎ、最期まで口から食べる力を支える方法〜実践編〜です。

使用物品

柔らかい歯ブラシやスポンジブラシ、不織布、歯みがきティッシュなど、口腔内に優しい素材を使用。

姿勢

誤嚥を防ぐため、適切な姿勢(頚部を後屈させない)に配慮する必要がある。

ベッド角度は30〜45度に起こし、枕やバスタオルで頭を少し支え、顎が軽く引けているかをチェック。足元や体幹にクッションやタオルを置き姿勢保持できるようにする。
ベッドの角度は個人差を考慮し、その方に合った姿勢に調整。この姿勢は、食事摂取時の誤嚥予防と同様です。

口腔乾燥(ドライマウス)のケア方法

・加齢の変化・薬の副作用・脱水などにより、口腔内が乾燥しやすい

1. 剥離上皮(新陳代謝によって剥がれた粘膜)や痰の除去

・歯ブラシまたは人差し指などに不織布を巻き付けて、水や保湿剤で湿らせてから優しく拭う。

・不織布を水のみで使用する場合は、誤嚥のリスクがあるため硬めに絞る

注意点: 

・不織布が口腔内に落ちないよう、しっかりと把持して使用。

・人差し指の場合は、歯で噛まれないようにバイドブロックなどを使用する。(噛まれるとほんとに痛いです)

2. 保湿剤の活用

・市販の保湿ジェルやスプレーを使用するほか、医師処方の人工唾液(サリベート)や保湿含嗽剤(アズノールうがい液+グリセリンなど)も有効。

・口腔ケアの後に保湿剤を塗布することで乾燥予防になる。

4. 誤った保湿剤使用について

アズノール軟膏に含まれるワセリンや精製ラノリンは、皮膚の保湿には効果的だが、口腔内の保湿には適さないため保湿剤を使用する。

■ 舌苔のケア方法

・経口摂取の低下や唾液分泌の減少により、舌苔はつきやすくなる。

・全てを除去しようとすると逆効果になり、舌に傷がついて菌の温床になることも。徐々に湿らせて、少しずつ除去する。または汚れを回収する程度に留める。

⒈舌ブラシや不織布、歯みがきティッシュなどを使用する

■ 終末期の配慮とチームケア

終末期になると、患者や利用者の口腔ケアがより難しくなることが多い。

しかし、最期の瞬間に口腔内が乾燥し、出血や痛みを伴っている状態であってほしくないと思うのは、すべての介護者・医療者の共通の願い。

なので、

・できる範囲でやさしく、苦痛のないケアを行う

・難しい場合には歯科医師・歯科衛生士に相談し、専門的な支援を受けることも大切

多職種で役割を分担し、負担なく継続できる体制を整えることが理想

この方法は、看取りに限らず、現在、口腔ケアが難しいと感じている介護中の方にも活用できる!

〜まとめ〜

・口腔ケアはQOLを守るケアのひとつ

・食べる・話す・感じる…「その人らしさ」の支援

・最期まで「生きる力」を支えるケアとしての意義

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