終末期ケア専門士の山口です。
ここでは50人以上の在宅看取りをした経験から、学んだことやヒントなど機能回復・維持に強い在宅看護のプロとしてお伝えしていきます!
「終末期にリハビリって必要なの?」と思われる方が多いかもしれないが、それは大きな誤解!
実は、終末期こそリハビリの本質が問われる時期。
なぜ終末期にリハビリテーションが必要なのか?
リハビリというと、機能回復や自立支援をイメージする人が多いかもしれない。
しかし、本来の目的は「その人らしく生きる力を支える」役割がある。
終末期リハビリテーションの3つの目的は、
・QOL(生活の質)を保つ
・不快症状を軽減する
・本人の希望に沿った生活を実現する
特に終末期では、生活の質(QOL)を維持・向上させるための手段として非常に重要とされている。
目標は、本人の希望を尊重し、「できることを少しでも長く維持する」ことがゴールである。
日本と海外のリハビリテーション観の違い
日本ではリハビリテーションは急性期を中心に発展してきた歴史があり、終末期におけるリハビリテーションの実践はまだ十分ではない。
一方、イギリスなどの欧米諸国では、ホスピスや緩和ケアチームにリハビリ専門職が常駐。終末期リハビリは常識として受け入れられている。
最近の日本でも、高齢化の加速とともに、慢性期・終末期のリハビリの必要性がようやく認知され始めている。
そもそも、リハビリテーションの語源と広がる対象
「リハビリテーション(rehabilitation)」は、ラテン語の”re(再び)“と”habilitare(できるようにする)“に由来し、「再び人間らしく生きる」ことを意味する。
もともとは戦争や交通事故などによる障害者への支援として始まったが、時代の変化とともにがん、心疾患、呼吸器疾患、フレイル、サルコペニアなどによる慢性的な障害や老衰にも対象が広がっている。
健康寿命とリハビリテーションの関係
日本では平均寿命と健康寿命の間に約10年のギャップがある。
平均寿命と健康寿命の差(2022年)
性別 | 平均寿命 | 健康寿命 | 差(不健康期間) |
男性 | 81.05歳 | 72.57歳 | 8.49年 |
女性 | 87.09歳 | 75.45歳 | 11.63年 |
これは、長く生きられても不自由な生活を送らねばならない期間があることを意味する。
そこで重要になるのが、日常生活の維持を支えるリハビリテーション!
この期間にQOLをどう保つかが重要であり、まさにリハビリが鍵を握るフェーズ。
日本の制度と終末期リハビリの課題
制度的課題:
・回復期以降の支援が薄い
・終末期の訪問リハビリ導入のハードルが高い
・医療保険・介護保険の縦割り構造
終末期リハビリテーションが担う役割とは?
・尊厳ある最期を迎えるための身体的サポート
・本人の自己決定を支える行動支援
・家族や介護者への心理的ケア
・「生きること」を支えるチームケアの一員としての役割
リハビリテーション専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)は、単なる機能訓練の提供者ではなく、人生の最期に寄り添う伴走者としての役割を担っている。
まとめ:終末期リハビリテーションは「生きる力」を支えるケア
終末期リハビリテーションは、単に身体機能を保つだけでなく、その人が「自分らしく最期まで生き抜く」ためのサポート。
今後の高齢社会において、日本でもより一層、終末期リハビリテーションの普及が求められている。
次回は、「終末期リハビリテーションによる効用とは?」もお楽しみに!
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