終末期ケア専門士の山口です。
ここでは50人以上の在宅看取りをした経験から、学んだことやヒントなどお伝えしていきます!
今回お伝えするのは
【終末期ケア】食べられない原因とは?〜無理に食べさせないこともやさしさ〜です。
「食べない=死が近い」ではない?
ターミナル期(終末期)になると、「ごはんを食べない」「食欲がない」「何を食べてもおいしくない」といった状態がみられるようになる。
これは多くの場合、
病気の進行による自然な変化であり、誰にでも起こり得ること。
ご本人が食べられないと、「どうしても食べてほしい」と願うご家族の思いが強くなりがち。
無理に食べさせることがご本人の負担になることもあるため、やさしく寄り添った対応が求められる。
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【終末期に「食べられない」主な7つの原因】
1. 全身の消耗(悪液質)
👉がんや慢性疾患が進行すると、筋肉や脂肪が減り、体のエネルギーが消耗されやすくなる状態に。
これにより、少しの動きでも疲れてしまい、食欲も自然と落ちていく。
2. 消化器の不調
👉胃や腸の働きが弱まることで、胃炎・逆流性食道炎・腸閉塞などが起こりやすくなる。
その結果、「食べると気持ち悪くなる」「吐いてしまう」など、食事を避けるようになる。
3. 薬の副作用
👉抗がん剤やモルヒネなどのオピオイド薬は、吐き気や味覚異常を引き起こすことがある。
「味がしない」「何を食べてもまずい」などの感覚は、食べる意欲を大きく下げる原因に。
4. 身体のつらさ
👉終末期は、痛み・息苦しさ・だるさなど、体に強い不快感があることが多い。
そうしたつらさがあると、食事をとる気力そのものが失われがち。
5. 口腔内のトラブル
👉口内炎や入れ歯の不具合、味覚の変化などは、「食べづらい」「噛めない」状態を引き起こす。
それが積み重なることで、食べたくなくなる=食欲低下に繋がる。
6. 精神的ストレスや心理状態
👉不安・抑うつ・せん妄など、精神的な変化も終末期にはよく見られる。
心の状態と食欲は密接に関係しており、「気分が落ち込むと食べたくない」という状態に陥ることも。
7. 環境の影響
👉慣れない入院、施設入所、においや音の変化、使い慣れない食器など、ちょっとした環境の変化がストレスになることも。
終末期には五感が敏感になることも多いため、環境の見直しが効果的なこともある。
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▼次回予告