【ターミナルケア】「食べたくない」に医療者はどう対応する?

終末期ケア専門士の山口です。

ここでは50人以上の在宅看取りをした経験から、学んだことやヒントなどをお伝えしていきます!

今回お伝えするのは

「食べたくない」に医療的にどう対応する?です

「ターミナル期(終末期)になると食べられないのは仕方がない」とわかっていても、「少しでも食べられる方法はないか」と悩むご家族も多い。

そんなとき、医療的な視点からできる対応を知っておくことで、「あきらめる」ではなく「寄り添うケア」が可能になる。

【対処の3つの柱】終末期における「食べたくない」への医療的アプローチ

1. 原因となる症状の緩和

👉まず最優先すべきは、不快な症状をやわらげること

痛み、吐き気、息苦しさなどがあれば、

→ 医師や訪問看護師と連携して緩和ケアを行うことで、体が楽になり、少しずつ食べる意欲が戻る場合もある

便秘や胃の不快感など、見逃しがちな症状も要チェック

2. 薬の調整・追加(※必ず主治医に相談)

👉医師の判断のもとで、次のような薬剤が使われることがある

消化管運動促進薬(薬名:プリンペラン・ナウゼリン など)

 → 胃腸の動きを助け、吐き気の軽減や胃もたれ感の改善に

ステロイド剤(薬名:デカドロン)

 → 一時的に食欲を回復させる効果があり、「最後に好きなものを食べたい」という希望を叶える一助になることも

ホルモン製剤(薬名:ヒスロン)

 → 比較的副作用が少なく、食欲増進を目的として使われることも

※使用は一時的・補助的な手段であることが多いため、メリット・デメリットを主治医としっかり話し合うことが重要

3. 栄養の考え方を切り替える

👉ターミナル期(終末期)においては、「栄養をとらせなければ」ではなく、

「苦しくなく、できるだけ楽に過ごせること」が最優先となる。

必要最小限の点滴(維持輸液)

 → 体への負担を減らしつつ、水分と電解質だけを補うにとどめることも

無理に食べさせない勇気もケアの一つ

 → 食べることが苦痛になる状態では、「食べなくてもいい」という選択が、ご本人にとって最もやさしい対応になることも

次回予告

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