【呼吸が苦しいときに】終末期の呼吸困難に対するメインの薬と目的とは?

こんにちは。

終末期ケア専門士・訪問看護師の山口です。

これまでに50人以上の方をご自宅で看取らせていただいた経験から、私は強く感じています。

「呼吸が苦しいときに、薬にはちゃんとした“目的”がある」ということ。

このブログでは、

「少しでも息苦しさを和らげたい」と願う

ご本人やご家族の方へ向けて、

終末期医療における呼吸困難(こきゅうこんなん)に対する薬の目的と内容を、できるだけわかりやすく解説しています。

■ なぜ薬を使うの?〜薬物療法の目的〜

呼吸困難とは、

• 息がしにくい

• 呼吸が浅くてつらい

• 吸っても吐いても苦しい

といった命の危険を感じるような強い苦しさや不安を伴う症状です。

終末期(ターミナル期)では、

がん・心不全・肺疾患などの病気が進行し、

「治す医療」ではなく「苦しみを和らげるケア」が中心になります。

その中でも、「息ができない」苦しさは特に強い症状のひとつ。

そこで薬物療法の目的は、

「少しでも呼吸が楽になること」

「安心して過ごせる時間を増やすこと」です。

薬で完全に症状が消えるわけではありませんが、

「症状がやわらいだ」「話す余裕が出てきた」と感じられることも多く、

ご本人のQOL(生活の質)を守る手助けとなります。

■ 呼吸困難をやわらげる主なお薬と目的

1. モルヒネやフェンタニルなど(医療用オピオイド)

「がんの痛みに使う薬」というイメージが強いですが、

息苦しさを和らげる効果もあります。

呼吸のために体が無理に頑張ろうとする「努力呼吸」を軽くし、

「吸う・吐く」が自然にできるようサポートします。

目的:呼吸にかかる負担を減らし、息を楽にする

副作用:便秘・吐き気・眠気など

※便秘対策として下剤を併用することが多いです。

「完全には取れないけど、かなり楽になった」

という声が多く聞かれます。

2. ステロイド(コルチコステロイド)

がんの影響で起こる肺のむくみや気道の炎症を抑えます。

特に、気道が圧迫されている場合(がん性リンパ管症など)に有効です。

目的:腫れや炎症を抑え、空気の通りを良くする

副作用:不眠・高血糖・せん妄(混乱)などの副作用が出ることもあります。

3. 抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)

息苦しさと不安は強く結びついています。

「息が止まりそう」「死んでしまうのでは」という強い不安があると、

呼吸はますますつらくなります。

抗不安薬は、

不安をやわらげることで呼吸を落ち着かせる役割があります。

オピオイドと組み合わせて使うこともあります。

目的:不安をやわらげ、呼吸のつらさを軽減する

副作用:眠気・ふらつき・せん妄(混乱)など

気になることや不安なことがあれば、

どうぞ遠慮なく主治医や訪問看護師や薬剤師にご相談ください。

■ まとめ:薬は「呼吸の苦しさをやわらげる手段」です

終末期医療では、

「治すこと」よりも、「どう楽に過ごすか」が大切になります。

薬は、

「少しでも穏やかに、安心して、自分らしく過ごすためのサポート」です。

• 息が少し楽になることで、

「話したい」「食べたい」「家族と一緒に過ごしたい」

といった希望が叶いやすくなります。

• 「呼吸が楽になって、表情が和らいだ」

その変化が、ご本人にもご家族にも大きな安心となります。

次回予告

【呼吸が苦しいときに】終末期の呼吸困難に対する補助的な薬とその目的とは?

【この記事はこんな方におすすめです】

• がん患者さんや、終末期を迎えているご本人

• 息苦しさや痛みに悩んでいるご家族

• 在宅医療・緩和ケアに携わる医療職の方

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