こんにちは。終末期ケア専門士・訪問看護師の山口です。
これまでに50人以上の方をご自宅で看取らせていただきました。
その経験から強く感じていることがあります。
それは――
「がんの痛みは、我慢しなくていい」ということ。
痛みを和らげる方法はたくさんあります。
今回は、「痛み」と「心」の深いつながり=トータルペインについて、わかりやすくご紹介します。
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終末期(ターミナル期)のトータルペインとは?
がんの痛みは「身体」だけの問題ではありません。
「痛みは心にも関係している」――
この言葉を聞いたことがあるでしょうか?
特にがんの痛みは、体の異常だけでなく、心の不安やストレス、生活環境などが大きく影響しています。
これを医療の世界ではトータルペイン(全人的苦痛)と呼ぶことがあります。
たとえば、こんな気持ちはありませんか?
• 死への不安や恐れ
• 家族との関係の悩み
• 将来や仕事への心配
こうした心のストレスがあると、身体の痛みを実際より強く感じることがあります。
反対に、心が穏やかで安心していると、痛みが和らぐこともあるんです。
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終末期(ターミナル期)で「病は気から」は本当?
前向きな気持ちが回復力を高める理由
「病は気から」という言葉を、聞いたことがある方は多いと思います。
私自身、日々訪問看護の現場で、この言葉は本当にその通りだと実感しています。
訪問看護の現場でも、前向きな気持ちや安心感が体の回復力を高める様子をたくさん見てきました。
不安やストレスが少ないと、心と体がリラックスし、本来持っている自然治癒力が引き出されやすくなります。
逆に、不安や悲しみが強いと、痛みや体調不良が強く現れることも。
だからこそ、心のケアを大切にすることは、体を守るためにもとても重要!
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終末期(ターミナル期)で、がんの痛みを和らげるために大切なこと
痛み止め(医療用オピオイド)+心のケア
がんの痛みを和らげるためには、医療用オピオイド(モルヒネなど)の使用がとても効果的です。
しかし、それだけでは十分とは言えません。
たとえば、
• 「安心して話せる人がいる」
• 「不安を口にできる場所がある」
こうした環境があるだけで、心が落ち着き、痛みもやわらいでいくことが多いです。
信頼できる人に気持ちを打ち明けること、
安心できる居場所を持つこと。
これらは、がんの痛みをやわらげる大きな力になります。
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まとめ|終末期(ターミナル期)でがんの痛みは我慢しないで大丈夫
がんの痛みは、身体だけではなく、心や環境とも深く関わっています。
だからこそ、「我慢」しなくていいのです。
痛み止めだけでなく、心のケアを大切にすることが、より穏やかな時間につながります。
安心して話せる人を見つけたり、心の支えになる存在をそばに置いたりして、
「自分らしい時間」を過ごしてほしいと思います。
ご本人やご家族で抱え込まず、ぜひ信頼できる医療者や訪問看護師にご相談ください。
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▼次回予告
終末期(ターミナル期)で、オピオイド以外のがん疼痛治療(放射線療法と神経ブロック)とは?をお伝えします。
【この記事はこんな方におすすめ】
• がん患者さんや終末期を迎える方
• 痛みケアに悩んでいるご家族
• 在宅ケア・緩和ケアに関わる医療者の方
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